2016
◆リオデジャネイロ五輪女子サッカーアジア最終予選第4節 日本6-1ベトナム(7日・キンチョウスタジアム)
【写真】試合を観戦した澤穂希さん
なでしこジャパンが、4大会連続の五輪出場を逃した。リオ五輪アジア最終予選で7日、ベトナムを6―1で下し初勝利を挙げたが、中国が韓国に勝ち、本大会出場権を獲得できる2位以内に入る可能性が消えた。2011年ドイツW杯初優勝から3大会連続で世界大会決勝を経験したが、悲願の金メダルの道は閉ざされ、主将のMF宮間あや(31)=岡山湯郷=ら黄金時代を築いたメンバーの多くが、今大会限りで代表を引退する意向であることが分かった。
これまで何度も起こしてきた奇跡へ、挑戦する機会すら与えられなかった。ベトナム戦のキックオフ前に中国が勝ち、予選突破の可能性が消滅。試合は6得点で圧勝も、初勝利を告げる笛はむなしく響いた。後半41分から出場した宮間は「ここで五輪をつかめなかったのは、キャプテンである自分の責任」とうなだれた。五輪連続出場が3大会で途絶え、なでしこには一気に世代交代の波が押し寄せる。
その筆頭が宮間だ。昨年も女子の世界年間最優秀選手(バロンドール)の最終候補3人に残る活躍を見せたが、なでしこリーグ関係者によると、オフに選手生活の継続も含め進退を熟考。澤穂希さんの引退で、主将としての責任から現役を続行したが、以前から親しい関係者にはリオ五輪を最後に代表を離れ、少年少女への指導などを通じてサッカーの普及活動に取り組みたいという夢を明かしていた。
この日の試合後には去就について、「まだ1試合残っている。この大会を代表選手として、主将として責任を果たしたい。後のことは今、言うべきではないと思っています。今は何も考えていない」と話すにとどめたが、本大会出場がなくなったことで、今予選を区切りとする可能性は高い。
同様にボランチで澤さんとコンビを組んできたMF阪口夢穂(28)も気持ちが揺れ動き、昨オフに一度は代表引退を視野に入れていた。また、最年長のGK福元美穂(32)、日本の右サイドバックの第一人者だったDF近賀ゆかり(31)、代表通算139試合目で節目の40ゴールに乗せたFW大野忍(32)の、30歳を過ぎた3選手も次回の19年フランスW杯については消極的な考えを持っているという。
一方で20年東京五輪へ、黄金期の魂を受け継ぐ選手もいる。MF川澄奈穂美(30)は五輪招致が決まった際、「日本にオリンピックが来るなら絶対に出たい」と周囲に熱意を漏らし、この日も「自分のサッカー人生はまだまだ続く。これを糧にしたい」と前向きだった。FW大儀見優季(28)も背番号10を引き継ぐ際、東京を見据える覚悟を告げている。
佐々木則夫監督(57)が今大会で退任し、後任はU―20日本代表の高倉麻子監督(47)の就任が最有力。25歳のDF熊谷、22歳のFW岩渕らは引き続き中心選手として期待されるものの、初の女性監督の下、3年後のW杯、4年後の東京五輪を目指す新生なでしこの顔ぶれは、大きく様変わりする。