約１カ月間にわたり行方不明になっていた三重県御浜町の中学２年の女子生徒が保護されたのは、海を挟んで西に約２４０キロ離れた高知市内の一軒家だった。未成年者誘拐容疑で逮捕された波川智央容疑者の自宅周辺では動揺が広がった。

　波川容疑者の自宅は、ＪＲ高知駅から東へ約１キロの住宅街にある３階建ての一軒家。関係者によると、約１０年前に転居してきたといい、妻と離婚し次男と２人暮らしだった。

　近所の男性は「息子を大切に育てていて、きさくな人柄だったのに信じられない」と話した。一方、「窓のカーテンがいつも閉まっていて、家の中の様子は分からなかった」と語る男性もいる。

　インターネットのサイトを通じて知り合ったという２人。波川容疑者の自宅に踏み込んだ捜査員が女子生徒を発見した際は、拘束などはされておらず、食事も取れていた様子だった。名前を尋ねると落ち着いた様子で受け答えし、安心したような表情を浮かべたという。

　一緒にいた波川容疑者も抵抗することなく捜査に応じ、逮捕後約９時間かけて三重県警紀宝署に車で移送された。県警によると自宅に連れ去ったことは認めているが、「同意の上だった」という趣旨の供述をしているという。

　一方、女子生徒が通っている中学校の校長は、「生徒たちには『いつか必ず帰ってくる』と言っていたが、本当に心配だったので良かった」と胸をなで下ろし、同級生の男子生徒も「学校に戻ってきたら、いつも通りに接してあげたい」と笑顔をみせた。

　捜査員から娘の無事を伝えられた女子生徒の母親は「良かったです。本当にありがとうございました」と涙声で話したという。