2016
4人目の野球賭博関与が発覚し、再び“黒い霧”に襲われた巨人。高橋由伸新監督(40)は、シーズン開幕前からあまりにも不憫な事態に追い込まれている。
球団の衝撃的な会見から一夜明けた9日、ソフトバンクとのオープン戦(ヤフオクドーム)前に、報道陣が高木京の不祥事に対する高橋監督のコメントを取ろうとしていた。だが試合前練習後の指揮官は、問いかけに「何もないよ」とだけ言い残してベンチ裏に消えていった。
現役選手だった昨季までとは違い、監督は現場を預かる代表として情報を発信する仕事も担う。新指揮官が現場の指揮で手いっぱいなのは仕方ないとして、球団側が取材対応の段取りをつけるなど未経験の役割をフォローすることはできたはず。だが広報機能の大半が東京の球団事務所に集中し、現場までは行き届かなかったようだ。
結果的に、同球場で対応したソフトバンク・王球団会長、他球団の監督のコメントなどが出そろう一方で、高橋監督の「何もないよ」との発言が悪い形で目立つことになってしまった。
現役続行への強い思いを断ち切らせ、一度も外から巨人を見ることもなく、本格的な指導者経験もないまま指揮官に就任させた経緯を考えれば、球団が高橋監督の船出をしっかりと支え守る体制が不可欠といえる。
高橋監督がベンチ裏に消えた約20分後。東京では高木京が1人、おびただしい数のカメラの前に立ち、全国に生中継される中、さまざまな思いに押しつぶされそうになりながらも謝罪会見をやり遂げた。
高橋監督は試合後にテレビカメラを排した囲み取材で改めて今回の問題について問われ「残念ですね。でも、われわれはどうこう言えるものもないし、後は会社に聞いてください」と話した。このコントラストを世間はどう受け止めるのか。就任早々から青年指揮官には酷すぎる修羅場だ。 (笹森倫)