2016
今月、結婚を発表したモノマネ女芸人のキンタロー。さん(34)。AKB48・前田敦子のマネでブレークするまでは、事務所の先輩TKO・木本武宏(44)の言葉を心の支えに耐えていた。
■「どんなことがあってもやめるんじゃないぞ!」
2011年にOLを辞め、一大決心で芸人を目指して上京したのが29歳と遅くて。いつ心が折れて田舎に戻ることになるかと不安でした。
松竹芸能のスクールに入った時期が、ちょうど東京にできた松竹の劇場「新宿角座」のオープンと同時期。こけら落とし公演がTKOさん。夜の公演の前に開会セレモニーがあり、スクールの生徒も参加したんです。
トイレに行くと、ちょうど木本武宏さんが出てきて、「君かー!新しく入ったスクール生は!」と話しかけてくれた。私はビックリして、「はい! よろしくお願いします!」と挨拶。
「がんばれよ。どんなことがあってもやめるんじゃないぞ! 約束やで!」と手を差し出し、握手を求めてくれて。メチャかっこよくないですか。それがうれしかった。
その後、スクール生から何組か出られるスクール生ライブに選ばれなかったり、自分だけ三十路なのにこの先やっていけるのか不安になったり、愛知の父の体調が悪くなって、私が看病しに戻らなきゃいけないのかと悩んだり……。何度も諦めそうになったけど、そのたびに「約束やで!」って木本さんと交わした握手を思い出してました。“私、木本さんと約束したんだから!”と。つらいことがあっても、あの時の約束が心の支えになって、踏ん張れたんです。
■「鉄板ネタ」もTKOのアドバイス
あっちゃん(前田敦子)のモノマネをやり始め、初めて出させてもらったライブで、あっちゃんのネタを見たときは驚いてくれて。本番後、「木本さんに約束してもらったおかげでここまでがんばれました! 握手してくれたの覚えてますか?」と聞いたら、「当たり前やんか! こんな顔デカイ女、忘れるかいな!」ですって(笑い)。
「めちゃくちゃブサイクだけど、どっか似てる。それがおもしろいね! 君はイケルと思う」と言って。
それからは、木本さんが関西のバラエティーで事務所のおすすめ若手芸人を呼ぶコーナーに、私を入れてくれて。番組としては、交通費がかかるから大阪の芸人を呼んでほしいのに、「キンタロー。じゃなきゃダメ」と言ってくれて。他の番組でも呼んでくれた。
ある日、TKOのおふたりと話している時、私が普通に「そうですね」とか返したら、ふたりして「アホやな! そこは、私のことは嫌いになっても○○のことは嫌いにならないでください! やろ!」と、返し方を教えてくれた。だからあのネタはおふたりから学んだんです。「有吉反省会」でその返しをやったら、会場が爆笑。その後、いろんな仕事につながりました。
私、カメラに映ってない時は顔が暗くなる時があって、つい最近も現場が一緒だった時に「おまえ、めちゃくちゃ暗いぞ! カメラが回ってない時も無理にでも明るく振る舞え。暗い顔してたら仕事、一個もなくなるで。暗くなっていいのは家についてからや」と叱ってくれた。とてもありがたいです。
木本さんが番組に出させてくれたし、本をただせば木本さんが「約束やで」と握手してくれたから、今の私がいる。これからも先輩の背中見て、がんばっていきます!
(聞き手=松野大介)
▽キンタロー。 本名・田中志保 1981年10月、愛知県出身。11年からモノマネタレント・キンタロー。として活動。今月、結婚を発表。