2016
猛虎復活のカギを握る阪神・鳥谷敬内野手(34)が順調なキャンプを送っている。就任直後の金本監督から変身を迫られた野手キャプテン。「すべての面で(今までに)出したことがある数字を超えたい」と意気込んでいる。
「ここ数年で一番いい状態でキャンプインした」という鳥谷。自主トレ段階で例年よりもスピード強化を狙った短距離系の走り込みを重視。体重も若干増やし「スピードを出して動ける状態」とパワーアップに手応えをにじませた。
沖縄入り後も率先して体を動かし、大声でヤジを飛ばす。8日にはキャンプ初の特守で130本超のノックを受け、「本当に変わろうとしている。行動も言動も成績でも、全部で引っ張ってほしい」と、「超変革」を掲げる指揮官の顔をほころばせた。
昨季まで3年連続で遊撃手部門のベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得するなど実績はあるものの、これまで金本監督から「すべてが物足りなさ過ぎる」と一刀両断されていた。ここ数年は長打や盗塁が減少傾向にあり、37歳シーズンで打率、本塁打、打点の3部門でキャリアハイをマークした監督が満足できなかったのも無理はない。6月に35歳を迎える鳥谷が自主トレでの“肉体改造”を決行したのも、新指揮官の叱咤(しった)を重く受け止めた末の決断だった。
今季、課せられたノルマは20本塁打、20盗塁。達成すれば両部門ともキャリアハイ(本塁打は09年タイ)になる。「できるなら全部変わりたい」と変身に意欲をみせる鳥谷。「自分が目標にした先輩。胴上げできたら」と慕う指揮官からの期待に応えるべく、新生・金本阪神を引っ張る。(大宮健司)
2016
今季の幕開けを告げる初戦で、FC東京は最高のスタートを切った。多くの選手が攻撃に絡み、9得点の快勝劇。「勝利を達成できてよかった」と東。ほしかったACL本戦切符をつかんだ。
城福監督が目指す形が垣間見えた。代名詞のパスをつなぎボール保持率を高める「ムービングフットボール」に加え、攻撃でスペースがあれば積極的に走り出すなど自らの意志で動く「アクションフットボール」を標榜(ひようぼう)。前半34分の得点は、相手守備陣の裏に抜けた徳永の右クロスを、中央の空いた場所に左から走り込んだ東が合わせた理想の形だった。「目指すところがどこなのかを伝えられる試合になった」と指揮官は強調した。
本格始動から約3週間。短期間で戦える集団にできたのは、城福監督だからこそ。2008年から10年にかけてFC東京で指導した選手が多く、先発した移籍組5人のうち「初めては駒野だけ」(城福監督)だった。「やってきたことを試合に出すだけ。迷いなくできた」と新加入の水沼は言い切った。
本戦は23日から始まる。この日は、試合に臨むチーム状態や意気込みに、相手と明らかな差があった。「相手が強くなってどうかというところ」と米本。真価が問われるのは、これからだ。(小川寛太)
2016
今季から巨人を率いる高橋由伸監督(40)がキャンプ地・宮崎で産経新聞のインタビューに応じ、原辰徳・前監督(57)から引き継いだ伝統チームの2年ぶりV奪還へ向けた構想などを熱く語った。
就任直後、選手に「個の力を上げよう」と訴えた。野球は9人で戦うが、「ボールを捕る、投手が投げる、打者が打つというのは結局(選手が)1人でやらなければいけない。そういう部分の強さ、レベルアップをまず求めたい」との考えからだ。
もちろんチームの勝利が大前提だが、「野手であれば打たないと評価は上がらず、ライバルに勝たないと試合にも出られない。プロ野球選手である以上、自分本位の部分があってもいい」とそれぞれの技量を磨くよう勧める。
2季連続で打撃ベスト10に一人も入れなかった野手陣。現時点で内外野とも布陣が固まっておらず、定位置争いは熾(し)烈(れつ)を極めそうだ。指揮官は不動の遊撃手である坂本にも「昨年の数字(打率・269)がレギュラーにふさわしいか」と奮起を求め、競争を勝ち抜いた選手を抜(ばつ)擢(てき)していく。
一塁転向後、打棒で精彩を欠いた阿部にはもう一度マスクをかぶるよう求めた。「捕手だったときの彼は強い巨人の象徴。安心感もある」。指揮官の思惑通り、捕手としてキャンプへ臨む阿部の表情は明るい。
投手陣の柱となる菅野はここまで順調な仕上がりだ。高橋巨人の初陣は3月25日のヤクルト戦(東京ドーム)。菅野が昨季4戦4敗と苦しんだ相手だが、「こちらは(相性を)気にしていられない。何とかしてくれるでしょう」とエースへ3年連続の開幕投手を託す決意に揺るぎはない。
涼しげな瞳の中に、内へ秘めた闘志を感じた。(三浦馨)
2016
柔道のグランドスラム・パリ大会で男子100キロ超級を制した原沢久喜(日本中央競馬会)が9日、羽田空港に帰国した。リオデジャネイロ五輪代表争いで、5位に終わったライバルの七戸龍(九州電力)を一歩リードし、「負けられない戦いで自分を奮い立たすことができた。とりあえずホッとしている」と納得の表情を浮かべた。
国際大会で7連続優勝とした全日本王者と七戸の代表争いは、4月に行われる全日本選抜体重別選手権と全日本選手権の2大会を残すのみ。原沢は「2つとも勝って(代表を)決める」と力を込めた。一方の七戸も同便で帰国。「同じ轍は踏まない。ガツガツと勝負を仕掛ける自分の柔道で2大会とも優勝したい」と巻き返しを誓った。
日本男子の鈴木桂治コーチは「対日本人となる2大会の結果で決める。代表になった選手には、その後に外国人対策の時間をつくりたい」と今後のビジョンをを示した。
2016
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の「エンブレム委員会」は9日、第10回会合を開き、最終審査で国民の意見を反映させるため、インターネットに加え、はがきでも意見を募集することを決めた。
エンブレム委の宮田亮平委員長(東京芸術大学長)によると、現在、最終候補4作品は商標調査中で、出願手続きをした上で、組織委のホームページ(HP)などで公開する予定。ネットを利用しない人からも意見を受け付けられるよう、はがきでも応募できるようにするという。
だが、アンケート形式にするのか、自由記述にするか、意見の集約方法などがまとまらず、最終審査の方法については、引き続き、次回の会合で議論することになった。
宮田委員長は「大会ビジョンやキーワードとの結びつきを意識してもらえるように工夫したい。単なる人気投票にならないような仕組みを考えたい」と述べた。