2016
自民党は6日、谷垣禎一幹事長を本部長とする「北朝鮮核実験問題対策本部」を開き、水爆実験を成功させたと発表した北朝鮮を非難する緊急声明を取りまとめた。声明は、政府に対し国連安保理での対応などを求めた上で、日本人拉致被害者の再調査で進展がないことも踏まえ「わが国独自の対北朝鮮措置の徹底を図るべきだ」としている。
谷垣氏は会合後の記者会見で、衆参両院での国会決議の採択を目指す考えを示した。北朝鮮への制裁が強化された場合の拉致問題への影響については「いろいろあり得ると思う。話し合い路線が極めて取りにくくなっているのは事実ではないか」と述べた。
北朝鮮が水爆実験に成功したと発表したことについて、自民党が6日発表した声明の全文は以下の通り。
北朝鮮の核実験に対する緊急党声明
平成28年1月6日
自由民主党
本日、北朝鮮が4回目となる核実験を実施した旨の発表を行った。
わが国を含む国際社会は、累次にわたり、北朝鮮に対し、関連の国連安保理決議の完全な順守を求め、核実験や弾道ミサイルの発射等の挑発行為を決して行わないよう繰り返し強く求めてきた。こうした中、今回、北朝鮮が核実験を強行したことは、わが国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジアおよび国際社会の平和と安全を著しく損なうものとして断じて容認できない。
今回の北朝鮮による核実験の実施は、国連安保理決議第2094号を始めとする関連安保理決議に明確に違反するものであり、国連安保理の権威に対する重大な挑戦である。加えて、核兵器不拡散条約(NPT)を中心とする国際的な軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦である。また、日朝平壌宣言や六者会合共同声明にも違反し、北朝鮮との対話を通じた問題解決に向けた動きにも逆行するものである。
政府は、断固たる抗議の意思を表明するとともに、更なる核実験の場合には北朝鮮に対し更なる重要な措置をとる決意を表明した国連安保理決議第2094号を念頭に、国連安保理での対応を含め、米国、韓国、中国、ロシアを始めとする関係国との協力を強化する等の外交努力を行うことを強く求める。また、国連安全保障理事会で新たな制裁決議がなされる場合、必ずその理由に拉致を含む人権侵害を明記させることを強く求める。
拉致問題に関し、北朝鮮が、平成26年5月の日朝合意をいまだ履行していないなど、具体的行動による進展がない。政府は、昨年6月に党拉致問題対策本部から提言した13項目の制裁強化策を速やかに実施し、わが国独自の対北朝鮮措置の徹底を図るべきである。
今回の北朝鮮の核実験の状況を踏まえ、今後とも、政府として、国家の防衛と国民の安全確保のための施策の一層の充実に万全を尽くすことを求める。