2016
平成16年に鳥インフルエンザが大量発生した事件の現場となった京都府京丹波町の養鶏場跡地について、土地を所有する町が、時代劇ロケ地として使用できる撮影所として復活させる計画を進めている。すでに昨年12月の町議会で鶏舎跡地のコンクリートを取り除く経費など約4100万円を含んだ一般会計補正予算案を全会一致で可決。早ければ今春にもロケ地として整備する方針で、映画関係者からも歓迎の声が上がっている。(永山準)
◆“負の遺産”
現場は養鶏場「浅田農産船井農場」の跡地約4・7ヘクタール。かつて数十万羽の鶏が飼われていた鶏舎だったが、16年の鳥インフルエンザの発生で24万羽以上を殺処分することになり廃業した。今では鶏舎のほとんどは解体され、土台となっていたコンクリートがむき出しのまま並んでいる。
発生当時、白い防護服を着た自衛隊員や警察官による除染作業の様子が報道され、マイナスイメージが広がった土地だった。近くの集落に住む農業の男性(62)は「あのときは大騒ぎだった」と振り返る。
浅田農産は廃業後、土地をすべて町に寄付。町は“負の遺産”を再活用しようと25年から森林公園にする計画を進めていたが、昨年、撮影所への利用の話が浮上した。
◆アクセス抜群
この話を持ちかけたのは京都府の幹部だった。以前から東映や松竹といった映画関係者から「撮影所に適した場所はないか」と相談を受けており、京丹波町に打診していたのだ。
映画関係者によると、時代劇は地上波放送では減少傾向にあるものの、よりコアなファン層を対象にしたBSでの撮影が増加しているという。
昨年7月、現場の視察に訪れた東映・松竹の関係者からは「電柱など画面を遮るものがない。自然に囲まれていてすばらしい」「合戦や大規模なセットを組んだ攻城戦のシーンもできそうだ」などと評価する声が相次いだ。
今回の土地は、同7月に全面開通した京都縦貫自動車道の丹波インターチェンジから車で10分ほどの場所にあり、利便性が飛躍的に高まったことも実現を後押ししたようだ。
東映の担当者は、太秦の撮影所(京都市右京区)から車で約1時間という立地条件を高く評価する。別の映画関係者も「移動費などのコストをカットできて理想的だ」と話す。
◆地元も大歓迎
「鳥インフルの地としての悪いイメージを払拭できる」。京丹波町の担当者はそう期待を寄せる。撮影時には利用料の徴収を検討しており、収入面でもメリットがあるという。
地元住民たちも歓迎。農業を営む男性は「観光地になって地元に還元されるかも」。主婦(71)は「俳優が見られるかもと考えると楽しみ」と心待ちにしている。
同町の畠中源一副町長は「撮影所の計画は夢を持てる事業。自然を生かした形で活用し、観光資源として地域の活性化にもつなげたい」と話している。
2016
大阪市住之江区のベイエリアにある大阪府の第2庁舎「咲洲(さきしま)庁舎」(旧大阪ワールドトレードセンタービルディング、WTC)について、府が昨秋、初めて入居店舗の募集を始めたところ、2カ月近く経過しても応募がないことが分かった。交通アクセスの悪さなどが要因とみられる。府は賃料など条件面の大幅見直しの検討を始めた。
大阪の中心地から西へ10キロ前後。湾岸部の人工島・咲洲にそびえ立つ55階建て、高さ256メートルの超高層ビルが咲洲庁舎だ。
昨年12月下旬の平日、ビル内では閉店を知らせる飲食店の張り紙が目につき、人通りはまばら。フィリピンから友人と旅行に来た男性(36)は「建物は立派だけど、人がほとんどいないね」と驚いた様子だった。
府によると、1~3階の店舗区画では現在、18室のうち11室が空いている。上階のオフィスフロアには府の一部部局や民間企業が入り、計約2500人が働くが、店舗区画と合わせて空室率は約4割に上る。
ビルは平成7年、大阪市の第三セクターが約1200億円かけて建設。しかし、テナント収入が伸び悩み、わずか9年で経営破綻に追い込まれた。
以来、活用方法が課題となっていたが、橋下徹氏が知事時代に府庁舎全面移転を表明し、22年6月に府が約85億円で購入した。ところが、全面移転案は府議会で否決。23年3月の東日本大震災でビルが約10分間にわたって揺れ、天井や壁の一部が損傷するなどの被害もあり、全面移転は事実上頓挫している。
府が購入した当時は、店舗、オフィス合わせて42のテナントが入っていたが、現在は17に。府は庁舎移転などを見据え、テナント募集をしてこなかったが、昨年11月13日から2週間、店舗区画への入居者を募集。その後、先着順に切り替えてテナントを募っている。
今年に入っても応募ゼロが続いており、府関係者は「交通も不便で、集客を見込めないと判断されているのでは」と分析。条件面の見直しを検討している。
これとは別にビルを売却、民間主導で活用してもらう案が浮上している。買い手がつきやすいように、売却後も賃借で府の部局が入居を続ける「セール・アンド・リースバック」という方式も検討されている。府がビルを所有したまま民間に活用を委託する案もあり、府は「できるだけ早く適切な活性化策を決めたい」としている。
咲洲に住む女性(73)は「店が入れば人が集まり、良い方向に回り出すのではないか。何とかこのエリアににぎわいが出てほしい」と話していた。
2016
整理回収機構(RCC)の債権回収を免れようと資産を隠蔽したとされる事件で、海外口座に約40億円を送金して財産を隠したなどとして、強制執行妨害容疑で逮捕された、ガソリン販売会社「アルフレックス」の共同代表の男性(68)ら4人について、京都地検は不起訴処分とした。処分は12月28日付。地検は処分の理由を明らかにしていない。
男性らは平成25年、アルフレックス名義の預金口座から約2億円を海外口座に送金し、不正に資産を隠蔽したとして逮捕。また、海外法人への貸付金名目で、香港の金融機関の口座に39億6千万円を送金して資産を隠し、債権回収を妨害したなどとして再逮捕されていた。
2016
おおさか維新の会の丸山穂高衆院議員(大阪19区)が昨年末、東京都内で飲酒した後に複数の男性らともみ合いになり、相手の手を噛むトラブルを起こしていたことが5日、わかった。同党は同日、丸山氏を馬場伸幸幹事長からの厳重注意処分とすることを決めた。
馬場氏が同日、丸山氏から事情を聴いたところ、「居酒屋から出てきたところ、複数の人に絡まれて口論になった。先に殴打されて首を絞められたので、反射的に手を噛んだ」と説明。「両者ともその後に警察へ行き、被害届などは出さないということで和解した」と話した。丸山氏自身も足の骨にひびが入るなどのけがを負ったという。
関係者によると、現場は東京都大田区のJR蒲田駅周辺。
2016
堺市会計室の元課長補佐(59)=懲戒免職=が平成23年の知事選の市内全有権者約68万人の氏名や住所など個人情報の15ファイルをインターネット上に流出させた問題で、市は全戸配布した広報誌の1月号に、4段抜き見出しの異例の謝罪記事を掲載した。「市民の皆様に深くおわびいたします」という見出しを大きく掲げ、竹山修身市長の名前で、「私を先頭に、市民の皆様の信頼回復に全力で取り組んでまいります」としている。
記事が掲載されたのは、「広報さかい1月号」の2面。全戸や市内事業所に約40万部を無料配布している。
紙面では、昨年6月に「ネット上に不審な情報がある」と匿名の通報が市にあったことをきっかけに調査を実施し、元課長補佐が有権者情報を含む選挙事務システムを自宅に持ち帰ったことや、同4~6月にレンタルサーバーに公開状態で保存したことなど、調査経緯や内容、再発防止策などについて記している。
また外部の専門家が参加した検証委員会を設置し、市の調査の妥当性などを検証、2月中をめどに結果を示すとしている。
市人事課によると、この問題で、市に問い合わせや苦情が相次ぎ昨年末までに、電話521件、メールや手紙40件が寄せられた。
竹山市長は広報誌紙面で「個人情報への職員の意識が希薄であったこと、また、組織全体として情報管理が不十分であったことが、この度の事態を招いた要因」と改めて記している。